日蓮宗 一乗山妙法寺

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  • 信心なき者は誹謗闡提の者なり(機関紙 本門第166号掲載) 住職 井村一誠

    2018年10月23日

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    今年の日本列島は、猛暑・自然災害等に苦しめられています。特に台風の襲来は異常でした。七月の西日本豪雨の後、九月には強い台風二十一号が九月四日、日本列島を縦断しました。

    毎月四日はAさん宅、午前九時の月参りです。連続台風の後の二十一号です。ニュース報道で昭和三十四年九月二十六日に来襲した伊勢湾台風並の大型で、午前中に東海地方直撃の恐れがある、万全の体制を取るようにと喚起を促していました。私は案じて、三日の夕方、Aさん宅へ電話をしました。「ニュースで台風予報は東海地方午前中に直撃です。日にちを改めましょうか」と。すると、「申訳ありません。我が家はこれまで一回も延期したことも、止めたこともありません。お願いします」とのご返事でした。私の消極的な姿勢を強くたしなめられた思いで、「ハイ承知いたしました。お伺いいたします」と返事を致しました。何があってもお参りに来て欲しいとのAさんの意気を感じました。しかし、どう考えても直撃を逃れない進路。車の乗り降りに強い雨風に当ることを覚悟いたしました。翌日、朝のお勤めが終わり、着替えをしていると、家内が来て「Aさんから電話がありました。『いつ来ていただいても準備はできております』とのことです」と。早めに出かけました。途中で雲行きが怪しくなり、雨が激しく降り前方が見難にくくなりました。案の定、台風の影響だと思いましたが、五分もすると、小降りになり、止んでしまいました。何時ものようにAさん宅でお参りをし、お茶を頂きました。「良かった、来ていただけて」と、感謝の言葉を頂きました。昨年、ご主人の十三回忌を終えられました。十三年前ご主人を亡くされ、長年続けてきたお題目で、主人を送りたいと改宗され、今日まで欠かさず月命日を続け、信心を深めてこられ、今日に至っています。

    法華経には「信心こそが仏道に入る根本」の旨が説かれています。日蓮聖人は法華題目抄の中で「それ仏道に入る根本は信をもって本とす。五十二位の中には十信を本とす。十信の位には信心初なり。たとえさとりなけれども、信心あらん者は鈍根も正見の者なり。たとえさとりあれども、信心なき者は誹謗闡提の者なり」と。「仏道に入る根本は、信心をもって基本とする。仏道を修行しようとする者は五十二の段階を経て、成仏に至ると説かれています。最初の十段階を十信と呼び、この十信の中でも、信心が最初の位です。たとえ経文の意味が理解できなくとも、信心ある者は鈍根であっても正見の者と言える。反対に経文を理解できたとしても信心の無い者は仏になるべき種子を断じてしまい成仏できないのである」と日蓮聖人は示しておられます。

    Aさんは高齢で、法華経の内容について理解は深くはないと思います。しかし、仏様の実在と救いを信じて、「南無妙法蓮華経」のお題目を唱え続けておられる正見のご婦人です。私は台風直撃の報道に、身の保身を考え、月参りの延期を申し出ました。正しく「信心なき者は誹謗闡提の者なり」と深く反省させられました。

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